Mango
「マンゴー」は当園最初の作物でした。長年じっくりと語り合いながら、年々美味しく実ってくれるようになりました。
マンゴーを作るきっかけになったのは、当園先代が最初に島にやってきた当時農業指導で作付を奨励されたことでした。
その頃植えられた木は、疎開中に野生化し現在では見上げるほどの大木となりました。
当時は”マンゴーで生計が立てられる”と言われていたことが園主の記憶にあり、終戦後帰島し開墾するとまずマンゴーの栽培にとりかかったのだそうです。
まず手始めに高さ50cmほどの幼苗のアーウィン種を30本、キーツ種を4本導入しました。
10年近くもの間、待てどくらせどなかなか実がつかず悩んでいるところで、戦前には見たことのなかった「雨よけ栽培」の技術を学び、屋根をかけ雨に濡らさないようにすることによってようやく最初の実が着きました。
ところが小笠原は猛烈な台風の通り道で、せっかく苦労して作ったこのパイプハウスも毎年幾度もの台風で壊滅してしまうこともしばしばでした。今度は”どうしたら台風に耐えるか”ハウスの構造を色々考えて試行錯誤を繰り返し、この場所にぴったりのオリジナルハウスが完成しました。台風には今も変わらず気が抜けませんが、順調に収穫できるようになりました。
〔マンゴーの実が出来るまで〕
小笠原のマンゴーは3~4月に花が咲きます。
無数の花々は3週間ほどの間に順順に散りながら小豆つぶ大の実をつけていきます。無数に着いたこの実は最終的には一枝に2~3個の果実だけが残されます。それ以外のものは大きくなるにつれ生理的に振るい落とされるか、人為的に摘果してしまいます。1つの実を充分に大きく、美味しくするためです。
この頃ピンポン玉大にまで生長した実が、さらにおおよそ100日たって収穫されることになります。この実を枝についたままの状態で完熟させ、7月下旬頃~8月、実が自然に木から離れる時が収穫となります。